NFCアンテナ用磁性シート
2023年5月16日
NFC用の高透磁率/超薄型の磁性シート「IFQ06」の開発と量産
- 高透磁率(μ')および低磁気損失(μ")の材料
- フレキシビリティと形状加工容易性
- 高いパフォーマンス(Q factor)
- 周囲の金属の悪影響を低減してNFC通信特性を保つ
- ロールまたはシート形状で供給可能
TDK株式会社(社長:齋藤 昇)は、高透磁率(μ')および低磁気損失(μ")の近距離無線通信(NFC)用IFQ06を開発し、2023年5月より量産を開始したことを発表します。NFC用のIFQ06開発により、電磁シールド材「フレキシールド」のラインアップを拡充しました。IFQ06は、NFCアンテナコイルの背面に配置することで通信特性を向上させるとともに、NFC通信性能を著しく低下させるアンテナ周囲の金属の悪影響を非常に効果的に抑制できます。
NFC通信は電磁誘導を利用し、アンテナがリーダー・ライターから搬送波を受信することで、非接触でオンボードICチップの信号処理を行う技術です。近年、電子機器では小型化と多機能化が進み、より小型・薄型で高性能なアンテナが求められております。一方で、小型化された電子機器内部では、NFCアンテナが金属のシールドや回路基板の近傍に配置せざるを得ない場合もありますが、一般に金属で発生する渦電流による反作用磁界がNFC通信のための磁界を相殺してしまい、NFC通信に著しい悪影響を与えることが問題でした。このような場合、磁性シートをアンテナ背面(金属との間)に配置することで、金属で発生する渦電流を抑制してアンテナ特性を向上し、NFC通信特性を担保できることが知られています。
この度開発したIFQ06は、低磁気損失(μ")を保ちつつ従来品より高い透磁率(μ')であるため、より一層アンテナ特性向上が期待できるとともに、より薄型でも金属で発生する渦電流を抑制して通信特性を担保できることが期待されています。その結果として、より小型・薄型で高性能なアンテナの実現に寄与いたします。
IFQ06シリーズにおけるその他の利点:
- アンテナ磁界の指向性付与
- アンテナQ値の向上
- 通信アンテナ間の結合係数(K)の向上
- アンテナインダクタンス値(Ls)の増加(アンテナ小型化)
- 通信に必要な磁束経路の形成
TDKのIFQ06フレキシブル磁性シート材では、ロール材、シート材、カスタムカットを用意しています。ロール材またはシート材は、プロトタイプ、少量生産、または広い面積をカバーする必要がある場合に理想的です。大量生産や自動組立の場合、要件に合わせたカスタムカットが可能です。
特徴とアプリケーション
主な特長と利点
- 柔軟性の高い磁性材であり、希望のサイズや形状に簡単に成形可能
- 複数の標準的な厚みを用意( 0.050mm, 0.100mm, 0.200mm)
- ご要望に応じて0.065mm, 0.075mmも提供可能
- 薄膜による高い透磁率 [u' = 56]、低い磁気損失{u" ~ 2}、および優れたQ値 [u'/u" = 28](13.56 MHz)
- 表面抵抗率が高いため(>10MΩ)、金属製アンテナに直接接触可能
- 最高125℃までサポートする高温用樹脂[IFQ06S]をオプションとして用意
- ロール材、シート材、お客様のニーズに合わせたカスタムカットが可能