TDK Electronics

エンベディング

2017年9月5日

ESD保護機能内蔵基板

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プリント回路基板は長い間、単なるキャリア材料およびコンポーネントの再配線層以上の役割を果たしてきました。現在では、より多くの機能が回路基板に直接組み込まれています。TDKは、LED用のESD保護機能を内蔵した超薄型セラミック基板CeraPad™の開発に成功しました。

LEDは屋内および屋外両方の照明システムの最先端技術です。さらに、LEDは現在ではスマートフォン用フラッシュやカメラのフラッシュ機能にも広く用いられています。また、自動車のヘッドライトや車両用の他のさまざまな種類の照明システムも、この照明テクノロジーに基づいています。LEDには高いエネルギー効率や長寿命などの大きな利点がありますが、重大な欠点が1つあります。それは、すべての半導体と同様に、静電気放電(ESD)に非常に敏感なことです。このため、既存のソリューションでは、各LEDが直列接続であるか並列接続であるかに応じて個別の保護素子が必要です。この目的に適したデバイスにはTVSダイオードがありますが、はるかに優れているのはコンパクトで手頃な価格のEPCOS CeraDiode®シリーズの積層バリスタです。これらのSMDコンポーネントは温度依存のディレーティングがないので、実装にはPCB上の複雑なワイヤボンディングではなく、はんだ付けプロセスの使用が可能です。図1は、ESDからLEDを保護するための従来型のソリューションを示しています。

 Figure1
図 1:

従来のLED照明では、ESD保護素子(この場合はTVSダイオード)が基板上でLEDの隣に配置されています。

しかし、この個別に保護するアプローチでは、実際の光源によるプリント回路基板表面の使用効率が低いという重大な欠点があります。さらに、保護素子がLEDが生成する光の最適な放射を妨げるため、LEDの効率低下につながります。

この問題を解決するために、TDKはCeraPadで全く新しいアプローチをとりました。このアプローチでは、小型化された積層ESD保護素子とLTCC基板の開発におけるTDKの長い経験が見事に組み合わされています。CeraPadはESD保護機能を内蔵した超薄型セラミック基板です。CeraPadは最大限の小型化かつ可能な限り優れたESD保護という要求を満たしているため、ESDに敏感なアプリケーションでの最高レベルのESD保護を実現します。これにより別個のESD保護素子を追加する必要が完全になくなり、LEDの実装密度を大幅に増大できます。その結果、基板表面をより効率的に使用できるようになるため、経費節減にもつながります。最終的に、TVSダイオードおよびワイヤボンディングが不要になることと、関連するコスト集約型の部品配置およびプロセスステップによって、信頼性も向上します。図2は、新しいキャリア材料の断面図を示しています。

 Figure2
図 2:

組み込まれた過電圧保護素子の多層構造が2つのビアの間に見られます。

CeraPadはシリコンベースのツェナーダイオードよりはるかに優れている

この機能性セラミックウエハは、30kVまでのESD強度を有する理想的なLED基板です。これはツェナーダイオードの8kVに比べると3倍以上の強度です。また、CeraPadは、CSP0707からCSP1515までの標準的なLED素子用にカスタマイズされた、高いパッケージング密度を実現するチップサイズパッケージ(CSP)の実装も可能です。

さらに、CeraPadは、シリコンベースのLEDとほぼ同じ6ppm/Kの低い熱膨張率をもちます。そのため、温度変化による基板とLED間の機械的ストレスはほとんどありません。さらに、このセラミック基板は22W/mK以上の高い熱伝導率を特徴としていますが、シルバーサーマルビアによってさらに増加させることができます。もう1つの利点は、基材の厚さが300µmから400µmの場合、250MPaの高い曲げ強度を持つことです。

お客様のご要望に応じて、CeraPadの接合パッドは標準SAC(Sn/Ag/Cu、260℃)でのリフロー処理と共晶接合(AuSn、320℃)の両仕様で設計可能です。図3は、CeraPadで実装されたLEDユニットのデザインを示しています。

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図 3:

CeraPadでは、ESD保護機能がLED下の基板に直接組み込まれています。チップサイズパッケージングにより、既存のソリューションと比較してかなり高いパッケージング密度を実現します。

LEDマトリクスアレイを使用した可変ヘッドライト

CeraPadはESD保護機能付きのLEDダイの基板に適しているだけでなく、従来のプリント基板のように、再配線層として使用することもできます。熱性能を損なうことなく、このような再配線層を最大10層も実装できます。比較すると、従来型の分離金属基板(IMS)で実装できる再配線層は通常5層までで、層が増えるにつれて熱伝導率は減少します。しかしCeraPad基板では、お客様のご要望に応じて個別に制御可能な1000個のLEDを密集して配置することが可能です(図4)。

このテクノロジーを使用すると、スマートフォンの複数個のLEDを用いたフラッシュ、自動車内照明システム、車の可変ヘッドライトなど、最小のスペースに革新的で高解像度の照明効果を実現できます。

CeraPadはTDKのCeraDiodeシリーズの1種で、革新的なウエハ技術とモジュール式ソリューションによる強力なセラミックESD保護素子を備えています。CeraPadにより、TDKは、ICの高感度化というテクノロジーの課題に対応しつつLEDモジュールの小型化を推進し続ける、魅力的なカスタムパッケージソリューションを提供します。これによりお客様には、ライトのデザインを最適化し、LEDの照明効率をさらに高める魅力的な可能性が開かれます。

 Figure4
図 4:

このCeraPadデザインでは、CSP0707 LEDで構成された16 x 16 LEDアレイを実現することができました。各LEDは個別に制御可能です。これに基づいて、例えば1000個ものLEDを使用したお客様独自のレイアウトの可変カーヘッドライトを設計できます。


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