TDK Electronics

CeraCharge

2018年10月30日

IoTアプリケーション向けの充放電可能なSMDタイプの固体電池

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簡単なガジェットから、産業IoT向けの複雑なデバイスにいたるまで、どんな電気・電子機器にも、小型で信頼性に優れた非常に安全な電源が欠かせません。世界初の充放電可能なSMDタイプの固体電池「CeraCharge は、こうしたすべてのニーズに応える新たなテクノロジーです。

現代の日常生活において、幅広い多様な技術を使う電池と蓄電池のない生活は想像のつかないところまできています。 IoT社会となった今、新しい超低電力半導体とセンサの要件にぴったり合った何十億もの特殊な電源が必要になっています。これらのデバイスは、環境発電技術により外部電源に依存せずに何年間も機能しなければなりません。エネルギー貯蔵媒体に求められているのは、小型かつ充放電が可能で、本質的な安全性をもち、簡単な組み立てが可能で低コスト、そして長寿命であることが挙げられますが、現在利用可能な技術で、これらすべての要件に同時に対応するのは難しいと言えます。今回発表するTDKの CeraCharge は、多くのアプリケーションにおいて、このジレンマから脱出する方法を提供します。一般的な電池に用いられている技術では、リチウムイオンが充電または放電中に動く液体電解質を使用していますが、CeraChargeの技術は、固体電解質を介して充放電を行います。CeraChargeは、図1に示されているように、MLCC(多層セラミックコンデンサ) に似た多層技術をベースとして製造されています。

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図 1:

CeraChargeの断面図。電解液のかわりに、固体セラミック電解質を使用している。

高度な積層技術をベースにしたCeraChargeは、比較的高い体積エネルギー密度に加え、安全で大量生産しやすいというセラミック積層部品の利点も兼ね備えています。さらに、固体セラミック電解質を採用しているため、火災や爆発、液体電解質の漏出の心配もありません。

SMT対応の設計による簡単なプロセス

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CeraChargeは、世界初の充放電可能なSMTタイプの固体電池です。このため、電池の配置が容易で、従来型のリフローはんだ付けができることから、組み立てコストの節減にもつながります。現在提供中のCeraChargeはEIA 1812パッケージ(4.5×3.2×1.1 mm)サイズで、定格電圧1.4 V、容量100 µAhを実現しています。表1に、CeraChargeの主要な技術データは表1に示されています。

表1:EIA 1812パッケージの充放電可能なSMDタイプ固体電池CeraCharge主要な技術データ
定格電圧[V]1.4
動作電圧[V]0 から 1.6
公称容量[µAh]100
公称放電電流[µA]20
動作温度[°C]-20 から +80

図2に典型的な放電特性を示します。CeraChargeの公称放電電流は20 µAですが、1つのCeraChargeで1 mA(10 C)の連続放電にも対応できます。

CeraChargeは、充放電可能か否かにかかわらず、従来型の電池と比較して、-20°C~+80°Cの非常に幅広い動作温度に対応するため、たとえば、測候所などの屋外使用にも好適です。図3に、20 μAの定電流放電時における典型的な温度特性を示します。

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図 2:

CeraChargeの典型的な放電特性

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図 3:

CeraChargeの典型的な温度特性

CeraChargeは、充放電サイクルは、要件に応じて、数十回から1,000回まで可能であり、電気的パラメータを著しく損なうこともありません(初期値の80%以上の容量維持率)。図4に、1.6 Vの定電圧で3時間充電し、20 µAの定電流で放電する場合の典型的なサイクル特性を示しています。

Bluetoothビーコンモジュールの送信中の電源供給など、短時間動作時やパルス動作時には、1つのCeraChargeで約3 mA/sの電流の供給が可能です(図5)。

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図 4:

CeraChargeの典型的なサイクル特性

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図 5:

CeraChargeの典型的なパルス電力

非常に幅広い用途

CeraChargeはコンポーネントを直列や並列に接続して、容量や電圧を増やすことも可能です。これにより、たとえば、リアルタイムクロック(RTC)用のバックアップ用電池やBluetoothビーコン送信用のエネルギー貯蔵など、さまざまな用途の可能性が拡がります。 

多くの場合、RTCのバッテリにはプライマリセル(コイン電池)が使われていますが、こうした従来型のソリューションの最大の欠点は、ユーザがいつか電池を交換する必要があることです。RTCにはVSB(バッテリへの電源電圧)が備わっているため、RTCモジュールのプライマリセルをCeraChargeなどの充電式電池に置き換えることで、この問題を解決できます(図6)。一般に、RTCがバックアップ電池からの電力を必要とするのは1度に1時間未満であるため、1つのCeraChargeは、再充電せずに1~5週間、RTC機能をバックアップすることが可能です。

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図 6:

CeraChargeはリアルタイムクロック(RTC)のバックアップ用電池として通常使用されているコイン型電池を置き換えることができる。

CeraChargeを活用した太陽光発電ビーコン

IoT(モノのインターネット)の前提条件は、あらゆる種類のアプライアンスやデバイスをインターネットに接続する能力です。太陽光発電によるBluetooth Low Energy(BLE)ビーコン技術は、スペース要件が非常に小さいことや低消費電力といった特長により、最適な接続ソリューションとして浮上しています。図7に、太陽光発電BLEビーコンの駆動モデルを示します。この回路で太陽光電池は、まずBLEモジュールの主電源を供給するコンデンサ(MLCCまたはEDLC)を充電します。CeraChargeは、太陽光電池が動作していないときにコンデンサを充電するためのエネルギーを蓄える働きをします。コンデンサが完全に充電された後の余剰のエネルギーが充電され、コンデンサが空になるとコンデンサに放電します。こうした仕組みにより、太陽光発電BLEビーコンが連続的に動作することが可能になります。回路に必要な並列接続のCeraChargeのユニット数は、太陽電池なしでBLEモジュールに給電する最大値によって決まります。

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図 7:

CeraChargeは、二次電源として使用され、BLEモジュールの主電源であるコンデンサを充電するためのエネルギーを蓄えます。

現在EIA 1812サイズで販売中のSMDタイプに加え、TDKは今後、さらに幅広いアプリケーションに対応するために、EIA 0603やEIA 2020などの他のサイズや、他の容量を備えたCeraChargeを開発していきます。ラインアップの拡充を図っていきます。アプリケーションには、環境発電のエネルギー貯蔵(コンデンサとの併用が一般的)や、瞬間的な高い需要において電流と電圧の平滑化するためのウェアラブル端末の補助電池などが挙げられます。