インダクタ
2025年7月29日
車載PoC用広周波数帯域対応巻線インダクタの開発と量産
- 1GHzを超える広い周波数帯域における高インピーダンス特性
- PoCフィルタのインダクタ使用数削減で省スペース化に寄与
- 動作温度範囲-55 ~ +155°C、高温環境での使用に対応
TDK株式会社(社長:齋藤 昇)は、車載PoC用巻線インダクタ 「ADL4524VLシリーズ」(L4.5mm×W2.4mm×H2.6mm)を開発し、2025年7月より量産を開始したことを発表します。
車載PoC(Power over Coax)は、同軸ケーブル1本で電力と信号を同時に伝送する技術です。安心安全な運転を支援するADASの普及に伴い、車載カメラシステムなどで広く活用されています。電力線と信号線を1本の同軸ケーブルで兼用できるため、配線の本数が減ることで車両全体の軽量化につながり、燃費や電費の向上にも貢献します。また車両内の配線がシンプルになりスペースを有効活用できます。
PoCは信号を処理する前に、信号と電力を分離するために複数のインダクタで構成されたフィルタが必要になります。本製品は、独自の材料設計と構造設計により、10MHz~1GHzの広い周波数帯域で高インピーダンスを実現し、インダクタの使用数削減と省スペース化に貢献します。広い周波数帯域をカバーすることにより、一例として、従来製品では3個のインダクタが必要なアプリケーションにおいて1個のインダクタで対応可能になります。動作温度範囲上限は155°Cの高信頼性インダクタです。
車載PoC用インダクタの開発は巻線工法に加え、積層、薄膜の3種の工法を用いた最適化設計により、今後も市場ニーズに対応した豊富なラインアップの拡充を行いPoC伝送信号の品質向上に貢献して参ります。
特徴とアプリケーション
主な用途
- 車載カメラ用PoC回路
主な特長と利点
- 1GHzを超える広い周波数帯域における高インピーダンス特性
- PoCフィルタのインダクタ使用数削減で省スペース化に寄与
- 動作温度範囲-55 ~ +155°C、高温環境での使用に対応
語彙集
PoC: Power over Coaxの略称。同軸ケーブルを用いた電力伝送
ADAS: Advanced Driver-Assistance Systemsの略称。先進運転支援システム
主要データ
製品名 | インダクタンス [μH] @100KHz | 直流抵抗 [ohm] max. | Isat. [mA] typ. 25deg.C | Itemp. [mA] typ. 105deg.C | Itemp. [mA] typ. 125deg.C |
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ADL4524VL-100M-TL000 | 10 ± 20% | 0.60 | 660 | 600 | 510 |
ADL4524VL-180M-TL000 | 18 ± 20% | 0.80 | 510 | 520 | 440 |
Isat.: インダクタンス変化率に基づく場合(公称インダクタンス値より30%低下) Itemp.105°C: 温度上昇に基づく場合(自己発熱による温度上昇40°C) Itemp.125°C: 温度上昇に基づく場合(自己発熱による温度上昇30°C) |