TDK TDK Electronics

ピエゾ・ハプティックソリューション

2019年7月31日

Touch me – feel me!

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スマートフォンや自動車、産業機器、家電製品や、ゲーム機――いまや多くの電子機器のユーザインターフェースに取り入れられるようになったハプティクス(触覚)技術。ピエゾ(圧電)ベースの触覚フィードバックは、こうした触覚デバイスの可能性を大きくひろげます。ピエゾハプティクスで未来が変わる――。TDKは、ありとあらゆるハプティックアプリケーションに適したユニークな製品ラインアップを取り揃えています。

利便性や安全性へのニーズが高まるなか、多機能HMI(human-machine interface)は、もはや私たちの暮らしとは切り離せないものになっています。近年、タッチパネルなどのタッチセンサ式HMIデバイスには、触覚フィードバックを搭載したものが増えています。今までの触覚フィードバック・ソリューションには、偏心モータ(ERM)やリニアバイブレータ(LRA)といった技術が用いられてきましたが、これらには多くの難点がありました。たとえば、比較的大きなスペースをとる、設計で振幅が決まる(ディスプレイコントローラの場合、挿入時における高さの確保がとくに重要になる)、消費電力が大きく、スマートフォンやタブレット端末などバッテリーで動くデバイスには不向き、振動周波数や発生力に限界があるため、感覚機能に劣る、といった問題点です。

TDKの触覚フィードバック向けピエゾアクチュエータPowerHap™およびPiezoHapt™製品群は、こうした問題点を克服した、画期的な触覚ソリューションです。感圧センサとアクチュエータを一つに組み合わせたこれらの製品は、従来のソリューションをはるかに凌ぐ高品質な触覚フィードバックを実現します。TDKは、これら二つの製品群からなる、触覚フィードバック向けアクチュエータの幅広いラインアップをご用意しています。

「PiezoHapt™ L」――世界最薄クラスの触覚フィードバック向け

TDKは、車載電子デバイスやスマートフォンのディスプレイ用に、「PiezoHapt™」の「L8060」および「L3015」タイプを開発しました。挿入時の高さはわずか0.35 mm(L8060)または0.3 mm(L3015)と驚くほど薄く、実装面積は80×60 mm(L8060)または30×15 mm(L3015)とコンパクトな形状です。「PiezoHapt™」は、フラットな積層圧電素子を振動板の片面に貼り合わせたユニモルフ構造で、ディスプレイの直下に直に搭載できます。

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図 1:

厚さがわずか35 mmと、TDK「PiezoHapt」各タイプは超薄型であるため、スマートフォンやタブレット端末、自動車のディスプレイに好適。

アクチュエータの動作電圧は、≤24 V(L8060)または≤12 V(L3015)。印加電圧の振幅や周波数に応じて、多彩な振動パターンを生成できます。200 Hzの正弦波で、40~65 µmの変位が得られます。「L8060」および「L3015」タイプはOLEDディスプレイにとくに好適です。

PowerHap――他の追随を許さない加速度、発生力、応答時間

PowerHap製品群のアクチュエータは、銅の内部電極を伴う積層圧電板をベースにしています。図2に基本構造を示します。

圧電版を駆動すると、垂直方向(Z軸方向)には微小に伸長するだけですが、均一なピエゾ効果のため、平面方向(X軸とY軸の両方向)で同時に収縮します。圧電板の両面に接着された両面の金属板(シンバル形状のチタンプレート)がこの収縮をZ軸方向に15倍に増幅するため、「2626H023V120」の最も大型のタイプで最大230 µmの大きな変位が生成できます。印加電圧と変位間の線形性がきわめて高いことも利点の一つです。「2626H023V120」タイプの変位値は1.8 µm/Vであり、駆動電圧により、振幅の大きさや波形を精緻に制御したり、さまざまに変化させることも可能です。

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図 2:

正方形のPowerHapアクチュエータの構造。この製品群には、一辺の長さが9.0 mm~26.0 mm、挿入時の高さが1.1 mm~2.3 mmの四タイプが含まれる。積層技術により、25 Nを上回る発生力と230 µmの変位が生成できる。

積層圧電技術により、PowerHapは、応答時間と加速度の点でも、これまでにない性能を発揮します。たとえば、わずか1 msの立ち上がり時間で、金属板の加速度は15.0 g、100 gの質量負荷で最大35 gの加速度を生成し、最大25 Nの非常に大きな発生力を実現します。従来のソリューションでは、これに比肩する加速度、発生力は得られません。図3に、「2626H023V120」タイプの応答時間と加速度を示します。

PowerHapアクチュエータは、1 Hzから500 Hzの幅広い刺激帯域全体で対応しており、振幅の大きさ、間隔、波形(正弦波、三角波、矩形波)を自由に変化させて、多彩な振動パターンを思いどおりに表現することが可能です。駆動電圧も低く、機種によって、-20V~120 Vまたは -10 V~60 Vの範囲となっています。このように、本製品は人間の感覚に合わせた触覚フィードバックの実現が可能であり、したがって、車載用や産業用の電子デバイスの最先端HMIにユーザが期待する高精細触覚フィードバックも自在に作りだすことができます。厚みわずか2.3 mmの低背設計とパワフルなフィードバックを両立させ、ディスプレイへの組み込みのほか、フラット面の直下に設置して使用することも可能です。これにより、過酷な産業環境や、食品加工や医薬品製造といった厳格な衛生要件が求められるアプリケーションに必須の高度な漏れ密性(leak-tightness)を確保したソリューションが可能になります。

優れた感覚特性

優れたアクチュエータ性能に加え、積層圧電技術による卓越したセンサ機能もPowerHapの特長の一つです。従来のタッチパネルのスイッチやボタンは、周知のとおり、ONかOFFにしか対応できないのに対し、PowerHapは、負荷された圧力に比例した電圧を出力します。図4に、圧力と電圧の挙動を示します。

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図 3:

100 gの質量負荷時の電圧に応じた加速度g。電圧の波形は120 Vをピークとした半正弦波で、周波数200 Hzにおけるパルス長は5 ms。

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図 4:

に、圧力と電圧の挙動を示します。

そのため、これまでの機械的ボタンとは異なり、負荷された力に応じてさまざまなアクションや触覚フィードバックを生成するPowerHapの特性をベースにしたソリューションの開発も可能になります。

表1は、販売中の正方形状タイプのPowerHapシリーズの一覧です。

表1

型名外形寸法
[mm]
動作電圧
[V]
加速度
[g] *
変位
[µm]
0909H011V0609 x 9 x 1.1 -10 to +602.535
1313H018V12012.7 x 12.7 x 1.8 -20 to +120765
1918H021V12019.4 x 19.4 x 2.125130
2626H023V120 26 x 26 x 2.335230

* 100 gの質量の荷重時

薄型デバイスへの側面実装に適した薄型設計

TDKは、フラット面の直下での使用に好適な正方形状タイプのPowerHapに加え、垂直方向だけでなく、水平方向の触覚フィードバックにも対応する四種類のスリムな長方形状タイプも開発しています。長さがわずか9 mmまたは12 mmの最も小型の二機種は、スマートフォンやタブレット、家電製品、ゲーム機、VR/AR機器、スマートウォッチ、ディジタイザ、ポータブル医療機器に最適です。幅が60 mmのタイプより大型の二機種は、現時点で最もパワフルなタイプであり、最大50 Nの発生力を生成し、最大1 kgの重量を可動できます。これらのパワフルなパッケージは、たとえば、図5に示すように、ディスプレイのサイドに実装し、水平方向への触覚フィードバックを生成することも可能です。表2に、長方形状タイプの主要な技術データをまとめます。

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図 5:

長方形状タイプはディスプレイの水平方向への制御に好適。主なアプリケーションは自動車のディスプレイ。


表2に、長方形状タイプの主要な技術データをまとめます。

表2

型名外形寸法
[mm] (l x w x h)
動作電圧
[V]
加速度
[g](ピーク)
変位
[µm]
0904H018V0609 x 3.75 x 1.4 -10 to +10 /
0 to +60
4.5*15
1204H024V06012 x 4 x 1.89.2*27
6005H070V12060 x 5 x 7-20 to +20 /
0 to +120
13**280
6005H090V12060 x 5 x 919**150

* 100 gの質量の荷重時
** 500 gの質量の荷重時

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図 6:

PowerHapアクチュエータの触覚フィードバックを実際に試せる評価キット。ユーザはキットを用いてさまざまな設計を評価することが可能。

PowerHapアクチュエータで実現可能なさまざまな触覚フィードバックの実力を、まずはお試しいただくために、TDKは二種類の評価キットをご用意しています。「BOS1901-Kit」開発ボード(注文コードZ63000Z2910Z 1Z44)は、60 Vアクチュエータに対応しており、キットには「0909H011V060」「0904H014V060」「1204H018V060」の三機種が搭載されています。基板は、Boréas Technologies社のハプティクス・ドライバ・アーキテクチャをベースにしており、小型で低消費電流、短い反応時間を主な特長とします。加えて、電圧の振幅、周波数、パルス繰り返し数、信号形状、センサ機能に関する豊富なオプションの設定が可能です。

もう一つの評価キットは、60 Vと120 Vのいずれのアクチュエータにも対応しており、一台のアクチュエータ用ドライバ(Z63000Z2910Z 1Z 1)と最大五台のアクチュエータ用ドライバ(Z63000Z2910Z 1Z 7)の二つのバージョンがあります。これらのキットには、「0909H011V060」「1313H018V120」「2626H023V120」の三機種が搭載されています。

パートナー企業からの高度な設計支援

触覚フィードバック機能を備えたシステムは、まだ比較的新しい技術であるため、標準ソリューションがありません。あらゆる業界のお客様に当社のハプティックスソリューションをスピーディーかつ低コストでデザインインしていただくために、TDKは、タッチレスポンス分野で世界をリードする三社と提携し、共同開発を進めています。

Aito keyboard_arrow_right 社は、同社のHapticTouchハードウェア/ソフトウェアをベースとしたコントローラソリューションを提供しています。このコントローラソリューションは、ピエゾアクチュエータに触覚フィードバックに加え、高精度のタッチセンサの機能を付与するものです。これにより、タッチパネルのような凹凸のない平面上で、スイッチやボタンを押したような感覚のシミュレーションを可能にします。TDKと同社のハプティクス技術を組み合わせることで、スマートフォンのタッチスクリーンへのタッチレスポンスソリューションの実装や、自動車のスイッチやボタンといった従来の機械的インターフェースの置換が可能になります。Aito社は、TDKの小型アクチュエータPiezoHaptのSシリーズを用いたソリューションを専門に手掛けています。

Boréas Technologies keyboard_arrow_right 社は、同社独自のCapDrive™技術をベースに、BOS1901ドライバICを開発しました。同製品は、センサ機能付きで、超低消費電力を特長としており、最大60Vの低電圧で駆動するPowerHapアクチュエータの制御にとくに適しています。同社は、最大駆動電圧が120Vのより大型のPowerHapアクチュエータ向けにも、低消費電力のドライバICを開発する予定です。

Immersion keyboard_arrow_right 社は、タッチフィードバック技術で世界をリードするディベロッパー/ライセンサーであり、TDKは同社とTDKのPowerHapおよびPiezoHaptアクチュエータの共同マーケティング契約を締結しています。Immersion社はこれらのアクチュエータを同社のソフトウェア製品とともに使用することを認定し、リファレンスデザインに含める予定です。これにより、同社のお客様は、世界最薄クラスのコンパクトな形状と世界最高クラスのパワフルな性能を併せもつTDKのアクチュエータを用いて、高度なハプティックソリューションを実現することが可能になります。 

利便性、安全性、操作信頼性の向上に向け、触覚フィードバックを搭載するデバイスやシステムが今後ますます増えることが期待されます。ユニークな製品ラインアップと、共同開発パートナーとのコラボレーションにより、TDKは、ありとあらゆるハプティックアプリケーションに最適なソリューションを提供していくことが可能です。