TDK Electronics

車載用電子部品

2016年12月1日

48Vシステムに完全対応

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車載用の48Vシステムには、いくつかの興味深い利点があります。総合的な燃費の向上に寄与し、環境への影響を軽減し、さらにエンジン性能を改善することも可能です。この技術の中核となるコンポーネントが、強力なバックブースト(昇降圧型)コンバータです。TDKは、このコンバータの鍵となる受動部品であるパワーインダクタとアルミ電解コンデンサを提供します。

車両内で電気的負荷となる機器の数は常に増え続けています。例えば、複雑化する駆動制御、電子制御暖房システムなどの快適さを提供する機能、ABSやESPといった安全関連システムの他、多くの機器が新たに搭載され、大電力を消費しています。今日、このような電力の需要に比例して、オルタネータから供給される電力レベルも上昇し続けています。1980年代初頭、高級車でさえ、その電力は出力約0.7kWのオルタネータで賄われていました。ところが、今日オルタネータに求められる発電出力は、既に当時の7倍にあたる3.5kWに達しています。ここで問題となるのは、14V出力のオルタネータがこの電力を起こす場合、出力電流が250Aという大電流になるということです。しかし、この電圧-電流比では、せいぜい70%の最大効率しか得られません。その結果、エンジンはジェネレータに5kWの入力電力を供給しなければなりません。総電流の大電流化がもたらす更なる問題は、導体がより大きな断面積を必要とすることです。これは、車両重量の著しい増加と、それによってもたらされる全体コストの顕著な増加につながります。

48Vシステムが効率向上に貢献します

大電力への要求が増大する一方で、燃費の向上とCO2排出削減に対する要求が高まっている現状を考えると、このジレンマを解決する方法を速やかに見つける必要があります。ここで、48Vシステムが興味深い利点を提示してくれます。このシステムは12Vのみで動作するシステムが成し得なかった数々の燃料節約の機能の実装を可能にします。これには次の機能が含まれます。

  • 5kW超での高性能エネルギー回収
  • セーリングやコースティングなどの発進から停止までの拡張機能
  • ターボチャージャーやパワーステアリングなどのユニットの電動化
  • マイクロハイブリッドやマイルドハイブリッドソリューションのサポート

48Vシステムは既存の12Vシステムの代替システムではありません。バックブーストコンバータを使って12Vシステムに連結し、12Vシステムの拡張の枠を超えて強力な負荷を制御することを意図したものです。図1は、このシステムの原理を示しています。12Vラインには従来の鉛酸バッテリまたはジェル化電解液型バッテリが使用され、一方48Vラインにはリチウムイオンバッテリが使用されています。電気エネルギー回収時の蓄電能力を改善するために電気二重層キャパシタをバッテリと並列に接続することも可能です。

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図 1:

12/48V複合型オンボード電源システムの原理。 48Vレベルのジェネレータの開発により、より高い出力と効率の達成が可能となりました。これらの2種類の電圧は、双方向バックブーストコンバータを介して接続されています。

バックブーストコンバータを使った効率的なカップリング

12/48V複合システムの最も重要なコンポーネントは、二つの電圧レベルの間のエネルギーの流れを双方向で可能とするバックブーストコンバータであり、2kWから5kWまでの出力用に設計されています。図2にバックブーストコンバータの回路図を示します。ノーマルモードでは、バックブーストコンバータは48Vレベルで発電された電力を12Vシステムに出力するバック(降圧)コンバータとして動作します。この動作モードにおいて、T2は常にオフ状態となり、T1はスイッチングレギュレータとして機能します。48Vの出力が必要になると、バックブーストコンバータはブースト(昇圧)モードでの動作が求められます。この場合、T1は常に導通し、T2はパルスモードで動作します。リップル電流とリップル電圧を最小値に抑えるため、実際には6相または8相のシステム、或いはこれらを直列接続したシステムが使用されます。 

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図 2:

バックブーストコンバータの回路図。スイッチング用トランジスタ以外のバックブーストコンバータのキーコンポーネントは、EPCOSパワーインダクタとストレージキャパシタです。

TDKは、バックブーストコンバータの蓄電および平滑チョークコイル用として新たに2種類のEPCOSパワーインダクタのシリーズを開発しました。その一つであるERU27シリーズはSMD部品で、大きな電流耐性と、僅か30mm x 27.8mm(図3、左)という非常に小さなフットプリントを特長としています。実装時の高さはインダクタンスの値により15.5mmまたは20.3mmとなります。このコンパクトなデザインは、高い容積充填率が得られるフラットワインディングを採用することにより可能となりました。このシリーズのインダクタには、3.5µHから15µHまでのレンジのインダクタンスをカバーする6つのバージョンが揃っていて、飽和電流は19Aから49Aの範囲のものがあります。PCB上に実装された時のコンポーネントの機械的安定性を高めるため、この電源チョークコイルは、巻線のはんだ付けパッド2つに加え第3のはんだ付けパッドを備えているのが特長です。

SMDタイプに代わるものとして、PTH(めっきスルーホール)端子を備えたEPCOS ERU33シリーズも使用可能です(図3、右)。このシリーズの定格インダクタンスはタイプに応じて3.2µHから10µHの範囲をカバーし、さらに0.85mΩのオーム抵抗時の飽和電流が79Aとなるように設計されています。このシリーズの電源チョークコイルの寸法は33mm x 33mm x 15mmです。ERU27シリーズおよびERU33シリーズは、-40℃から+150℃までの動作温度範囲に適合すると同時に、RoHS指令に準拠し、AEC-Q200にも認定されています。ERU27およびERU33シリーズの標準品に加え、お客様指定のインダクタンス値を持つ特注品にも対応いたします。

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図 3:

EPCOSの小型パワーインダクタは、電流耐性が最大75 Aのものまで取り揃えています。

極めて優れた耐振動性能と高い許容リップル電流値を有するコンデンサ

バックブーストコンバータにおいてインダクタに続くキーコンポーネントは、蓄電と平滑のための堅牢なアルミ電解コンデンサです。EPCOS B41689並びにB41789シリーズ(図4)は、車載用電子機器の厳しい要求に応えるべく特別な設計が施されています。これらのシリーズは、最大60Gという極めて高い耐振動性が特長です。はんだ付け位置を星状に配置したソルダリングスター設計と、コンデンサの両端にカソードプレートの接点を持つバージョンは、低ESLを維持しながら最適な実装を実現します。

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図 4:

:車載電子機器用EPCOSアルミ電解コンデンサは、最大60 Gまでの極めて高い耐振動性に加え、最高150℃までの動作温度が特長です。

また、これらのコンデンサは、内部接点を複数持っているためESRの値が低いという特長もあり、結果的にリップル電流の許容値が高く、低損失な特性が得られます。コンデンサのタイプにもよりますが、125℃のケース温度におけるこれらのコンデンサの連続するリップル電流に対する許容電流は、最大で29.5Aに達します。車載シリーズは、定格電圧が25V、40V(12Vに対して)、および63V(48Vに対して)になるよう設計されています。このため、新規のオンボード電源システムの12Vと48V双方の電圧レベルに合わせて使用できます。静電容量も360µFから4500µFまでの広範囲をカバーします。

キーコンポーネントとしてのパワーインダクタとアルミ電解コンデンサに加え、バックブーストコンバータにはその他一連のTDK製品が不可欠です。これらの製品には、MLCCや電流検出トランス、バリスタなどが挙げられます。

電動ターボチャージャーによってさらに優れたエンジン効率を実現

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図 5:

ポンプのような従来ユニットの電動化は別として、48Vシステムは、電動ターボチャージャーを採用することでエンジンをより効率的に動かすことも可能にします。従来のターボチャージャーは排出ガスにより駆動されているため、そのパフォーマンスはエンジンの回転速度に大きく左右されます。さらに、その動作にはターボラグとして知られている僅かな遅延が伴います。ターボチャージャーを電気的に駆動すれば瞬時の応答性が得られ、また、例えば都市の交通事情で余儀なくされるエンジンの低速回転時も、より優れたエンジン効率を発揮するため(上図参照)、このような欠点は解消されます。電動ターボチャージャーのもう一つの利点は、従来のターボチャージャーと組み合わせて使用できることです。即ち、同時使用により過給圧をさらに増やしたり、或いはエンジンが高速回転になったら電動ターボチャージャーをオフにしたりできます。



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