ホールセンサ
2017年5月16日
カーエレクトロニクスの万能選手
TDKが買収したホールセンサのメーカーであるMicronasはTDK-Micronasと改名しました。そして、その製品ラインアップはMicronasブランドで市場に提供されています。Micronasホールセンサを使用することで、ブラシレスDC電気モータの整流からステアリング角度の精密な測定に至るまで、カーエレクトロニクスおよび産業用エレクトロニクスにおいて数多くのセンサ機能を実現できます。
ホールセンサと永久磁石の組合せにより、回転速度、角度、回転、充填レベル、圧力、トルクおよび電流など多数の変数の測定が可能になります。適切に密閉されていれば、他のテクノロジーと比較してホールセンサはちり、汚染または水に敏感ではないという利点があります。被測定媒体との物理的接触がなく実質的に摩耗が生じないため、ホールセンサは非常に高い信頼性を持っています。
ホールスイッチ
磁石がセンサに近づくと、測定された磁気の強さをしきい値と比較します。値がスイッチングポイントを越えるとすぐにセンサのスイッチング状態の出力が、ユニポーラ、バイポーラあるいはラッチングなどそのタイプに従って変化します。
この目的のため、TDKはMicronasスイッチの2つの製品シリーズを提供します。プログラム可能なスイッチのHAL10xyと、規定固有値を持つHAL15xyシリーズです。HAL15xyシリーズは主に車載用途のために設計されており、ISO26262による機能安全規格を満たしています。このスイッチは、3ワイヤ版と2ワイヤ版があり、TO92またはSOT23パッケージで利用できます。後者は電流ソース出力があるため、2つの供給ケーブルのみを必要とします。典型的な用途は、終端位置検出や回転速度測定です。
ホールスイッチは、シートベルトバックルなど従来はマイクロスイッチが使われていた部分を置き換えつつあります。さらに、モータコントローラと組み合わせてブラシレスDC電気モータの整流用にも使用できます。
リニアホールセンサ
経路測定や回転運動の測定には、より複雑なMicronasリニアホールセンサを必要とします。これらは、リニア出力特性、つまり磁力と比例した信号を出力する特徴を持っています。信号は、アナログ出力電圧、パルス変調幅(PWM)、あるいはSENTプロトコルで出力できます。TDKの製品ラインアップには、4つのプログラム可能なリニアホールセンサのシリーズがあります。出力特性は最大32のグリッドポイントを用いて線形化することができます。これにより、磁石または機械デザインによる許容差を完全に補償することができます。
最新世代のMicronas HAL24xyセンサには診断能力があり、40mmまでの正確な距離計測および180度までの正確な角度計測が可能です。HAR24xyセンサは特に安全上重要なドライブバイワイヤでの使用のために設計されており、冗長機能がついています。つまり、2つの独立したセンサチップ(デュアルダイ)が、1つのTSSOPパッケージに集積されています。その他には、磁場計測や、すり減りやすい従来型の電位差計の置換などにも使用できます。リニアホールセンサは、車載用途ではペダル位置やハンドルのトルクの検知に特に使用されます。
ダイレクトアングルセンサ
リニアセンサ(1D)が絶対磁場を計測するのに対して、ダイレクトアングルセンサ(2D)は磁界のベクトルの測定もできます。チップ表面と垂直方向の磁界成分に加えて、縦型ホール素子がチップ平面方向の磁界成分を計測します。これに基づき、内部の信号処理機能が、角度や位置情報を計算します。
MicronasのHAL37xyセンサシリーズは、Micronasが開発した3D-HALテクノロジーで高精度な測定を実現します。出力特性に加え、不揮発性メモリをプログラムすることにより磁気回路に適した主要特性を持たせることができます。最高のEMC特性を実現し、費用とスペースを節約し、プリント回路基板なしでアプリケーションを実現するために、HAC37xyにはコンデンサが組み込まれています。HAR37xyはHAL37xyシリーズのデュアルダイ版です。典型的な用途には、磁場配向や最大40mmまでの直線運動、360度までの角度の高精度での測定が含まれます。ダイレクトアングルセンサは、スロットルバルブやクラッチペダルの位置の測定に理想的です。